仮性包茎の男性は、入浴時に亀頭と包皮を洗って、恥垢が溜まらないようにすれば問題ありません
性病にまつわる迷信・俗説は多く、定番の「コーラで膣を洗えば妊娠・性病を避けることができる」、「セックスの前に馬肉を食べると、性病の感染リスクが減少する」、「セックスの後に排尿すれば、男性は性病にならない」などが有名ですね。南アフリカ共和国では「処女とセックスすれば、エイズが治る」というトンデモない迷信がいまだに根強く残っており、毎年、多くの若い女性が性暴力の被害に遭っています。勿論、これらの迷信・俗説は、医学的な根拠のないデタラメなものばかりです。
さて、日本ではコーラや馬肉の話と並んで、「包茎の人は性病に感染しやすい」という話もよく耳にするかと思います。上記のいずれの話よりも、真実味はありそうですが、ウソのような感じもする…。いかがでしょうか？
実は包茎と性病の関係を優位に証明するデータは存在しません。泌尿器科や性病科で性病と診断される男性患者に包茎が多いのは事実ですが、日本人男性の70%以上が包茎ですので、絶対数が多いのは当たり前の話なのです。
「包茎の人は性病に感染しやすい」と信じられている背景には、「包茎＝不潔」というイメージがあるためと推測されます。包茎の人は、尿・汗・精液・その他の老廃物が亀頭と包皮の間に溜まって"恥垢"ができやすくなります。
これをエサに様々な性病の原因菌が繁殖するので、なるほど、確かに"ズル剥け"（他に適切な表現が見つかりませんでした）の男性に比べて、包茎の男性の方が性病になりやすいような感じがします。
しかし、包茎男性の大部分を占める"仮性包茎"は自分で皮を剥くことができるので、お風呂場で刺激の少ない石鹸を使って指で優しく洗ってやれば、30秒もあれば恥垢はキレイに洗い流すことができます。
恥垢は"カリ"（陰茎と亀頭の間のくびれた部分）に溜まりやすいので、この部分を意識的に洗ってあげましょう。このように清潔を保つように心掛けていれば、ズル剥け君も包茎君も性病の感染リスクはなんら変わらないのです。
ちなみに仮性包茎でも包茎手術を薦める広告がチラホラ見受けられますが、「全く必要ない」というのが専門家のマジョリティーを占める回答です。逆に手術後に痛みが残ったり、亀頭の感覚障害が起こったりする人も少なくなく、なかには再び包皮で亀頭を包むように再手術をしたという人もいました。昔、夕刊紙「日刊ゲ○ダイ」で包茎手術の話題が採りあげられた時、自ら「ワタシも包茎です」という医師も手術は必要ないと力説されておりました。
唯一問題となるのは、亀頭が包皮で完全に覆われて、勃起時は勿論、平常時も手で包皮を剥くことができない"真性包茎"の場合です。真性包茎の人は恥垢を洗い流すことが難しいうえ、常に湿った状態にあるため、一度菌やウイルスが侵入すると繁殖して性病に感染しやすくなります。
無理に亀頭を出そうとすると、剥いた包皮が元に戻らない"カントン包茎"になる恐れがありますので、無理はせずに洗える範囲を洗うようにしましょう。
真性包茎の人、または仮性包茎の人がペニスの清潔を心掛けていない場合、以下の性病の感染リスクが高まります。特に風俗店で遊ぶ機会の多い方は要注意です。
亀頭包皮炎
雑菌（大腸菌、黄色ブドウ球菌）やカンジダ菌が亀頭や包皮に感染して、ペニスのかゆみ・痛み、白いカスが出る、亀頭が赤く腫れる、水ぶくれができるなどの症状がでます。包茎の人が入浴時にケアを怠ると包皮の内側に恥垢が溜まり、それを栄養源として菌が大繁殖を起こしてしまいます。
ただし、亀頭や包皮の皮膚はデリケートなため、洗いすぎると炎症を起こしてバリア機能が低下して逆に細菌が増殖しやすくなってしまうことも…。。
尿路感染症
亀頭や包皮で繁殖した細菌が尿路に侵入して炎症を起こし、排尿痛などの症状が現れます。亀頭包皮炎と一緒に発症する人が多いです。
尖圭コンジローマ
主にセックスでHPV（ヒトパピローマウイルス）に感染して、亀頭や包皮の内側などに先の尖ったイボイボができます。HPVは暖かく湿った場所が大好きなので、性病の中では包茎の人に現れやすいタイプとなっています。
性器ヘルペス
セックスやフェラチオなどでヘルペスウイルスに感染し、亀頭などにピリピリした痛みを伴う水ぶくれが現れて、やがて破れます。真性包茎の人が手術を受けて包皮を剥くと、ヘルペスに感染しているケースがしばしばあります。
性器クラミジア感染症
主にセックスを通じてクラミジアの感染することにより、尿道から膿が出たり、排尿痛、微熱などの症状を引き起こす性病です。男性の約50%は無症状のため、知らない間に感染していることも…。近年は、10〜20歳代の若い世代にフェラチオでクラミジアに感染する事例が増えています。